【緊張の心理学】すぐに緊張してしまう自分を変える方法

 

緊張しすぎる自分をなんとかしたいという方は多いと思います。

僕のところにも「どうやったら緊張しすぎる性格を変えることができるのでしょうか?」と言った質問は多く寄せられます。

そこで、今日は、緊張に対処する心理学のテクニックをお伝えしたいと思います。

緊張の原因

緊張に対処するテクニックをお伝えする前に、なぜ緊張が生じるのかを考えてみましょう。

心理学的に説明すると緊張の原因は「予期不安」にあります。

予期不安とは、「恐れていることが起きると思ってしまう不安」です。

例えば、対人緊張がある人では、「自分が話しかけると嫌われるのではないか」という不安を伴う予期があります。

客観的に見れば起きてもない不安なので、なぜそんなことを不安に思うんだと不思議に思いますが、本人にとっては確実にその予期が起こると思われてしまいます。

この予期不安が強すぎると、不安障害をはじめとした神経症に罹患してしまいます。

ただし、弱い予期不安であれば誰しもが持っているものであり、それが病的なものでなければ心理学的に心配はいりません。

とはいえ、この緊張してしまうというのは、本人にしかわからない苦しみであり、緊張があることでなかなか自分らしく振る舞えなかったり、人と上手く会話することができなかったりと意外と苦痛なものです。

そこで、今日は緊張に対処する方法論をお伝えしましょう。

緊張に対処する方法3選

緊張に対処する方法は複数ありますが、ここでは実際に僕が心理療法に取り入れて成果を上げてきた方法論を3つお伝えしましょう。

その方法とは、

・逆説思考

・身体感覚の伸長

・緊張受容法

の3つです。

どれも強力な方法ですので、実践的に利用してみてください。

逆説思考とは、オーストリアの精神科医でユダヤ人のV.E.フランクルが考案した技術です。彼は有名なロジャースと同じ人間性心理学の心理学者です。実存主義を唱えた人物としても知られています。

逆説思考の方法論は簡単です。

普通、私たちは緊張した際に、「緊張するな、収まれ!」と思いますが、逆に「もっと緊張しろ!」と考えるのが逆説思考です。自分の緊張を煽るような考え方をあえて心の中で行うのです。

そんなことしたら余計緊張するじゃないか!という声が聞こえてきそうですが、実際には緊張は収まっていきます。

なぜそんなことが生じるのか。

逆説思考には、先ほどお伝えした予期不安を抑える作用があるからです。

予期不安はその名の通り、現状起こっていない想像に基づく不安感のことを指します。

緊張する人は「緊張したらダメだ」という想像を描いて不安になっています。

しかし、逆説思考では「緊張する自分になれ」と考えているわけですから、予期不安は、

「緊張したらダメだ」→「緊張する自分になれ」

と書き換わります。

こうなると予期不安は消えます。

「緊張する自分になれ」と考えるのであれば、「緊張してもむしろ良い」という話になるからです。

つまり、逆説思考を使うと予期不安は生じなくなるのです。

ここで反論があると思います。

それは逆説思考をしようと思っても、「緊張する自分になれ」なんて思えないよ!という反論です。

しかし、安心してください。

逆説思考は、臨床心理学の専門家以外には、日本ではほとんど知られていないマイナーな心理技法ですが、世界的にはかなり有名な心理療法であるロゴセラピーの1技術です。

そのため、それなりに研究もされており、クライエントが逆説思考を確信できない場合でも、効果があることが示されています。

そのため、「緊張する自分になれ」なんて思えない!と感じたとしても、割り切ってやっていれば効果は出ます。

また、マインドセットに関する研究においても、1度決めたことは確信できていなくても十分効果が持続されることが示されています。

要するに、確信できるかどうかに関係なく、逆説思考は効果を持つということです。
かなり便利な方法論ですね。

身体感覚の伸長

この技術はどちらかというとアンダーグラウンドな技法ですので、心理学の教科書等には載っていませんが、実践的な効果を発揮する方法です。

僕自身、学校臨床などで現在も使っており、イメージ力の強い人に特に有効なテクニックです。

私たちが人と対峙した時に緊張してしまうのは、相手の無意識に自分の無意識が負けているからです。

人間に限らず動物は相手と対峙した瞬間に「自分が上か相手が上か?」という判断を下します。

緊張するのは自分の無意識の大きさが、相手の無意識の大きさに負けているからです。

これを解決するには、自分の無意識の大きさが相手の無意識の大きさに勝るようにすれば良いのです。

そのための方法論をお伝えします。

人は通常、自分の身体の大きさと無意識の影響範囲を一致させています。

しかし、人間の無意識のカバー範囲はほぼ無限大に拡張していくことができます。

例えば、椅子に座っている自分を例に考えてみると、自分の身体の範囲のみ無意識がカバーしているということです。

そこで、この自分の身体の範囲を超えて椅子にまで無意識を広げるワークをしてみます。

逆説的ですが、無意識を広げるためには意識を利用します。

意識的に範囲を拡張してしばらくその状態を維持すると、やがてその範囲が無意識領域として拡張されます。

何度も言いますがこの技術は、心理学の教科書には載らないアンダーグラウンドなものです。

とりあえず試してみてください。

やり方は簡単です。

座っている状態で、まずは自分の身体全体の範囲を意識してみてください。

それを1分ほどで行ったら、次に徐々に意識の範囲を椅子にも広げていきます。

最初は椅子の座面、背もたれ、脚という順で範囲を広げていきます。

椅子全体に自分の意識を拡張できるようになれば成功です。

あなたの意識範囲は身体を超えて椅子全体までに広がっています。

しかし、それだけでは一晩寝ればすっかり消えてしまうので、最低でも1週間は椅子に座る度に意識を拡張するワークをしてください。

1週間ほど続けていくとやがて無意識的にできるようになります。

この訓練後に人と会うと緊張が減っているのを感じるはずです。

これは自分の無意識の領域が拡張されたからです。

緊張受容法

最後に緊張受容法をお伝えします。

これは心理学の教科書で出てくる森田正馬の森田療法の「ありのまま」という概念に近いものです。

森田療法は日本をはじめ、世界中で神経症患者の治療に効果を上げてきました。

そのエッセンスは、

「ありのまま」

という一言に集約されます。

森田は神経症患者は症状に「とらわれ」ており、その症状から逃れるために「はからい」を行うと考え、この「とらわれ」と「はからい」が神経症を維持する最大の要因になっていると考えました。

ちなみに森田はこのような神経症の維持構図を精神交互作用と呼びました。

この精神交互作用を取り除くためには、症状が生じてもそのまま自然に任せようとする「ありのまま」が重要だと考えました。

つまり症状が存在したとしても、それをありのまま自然のままに受け取るということです。

緊張受容法も同じです。

「緊張する」という自分をありのままに受容します。

森田と異なるのは、緊張受容法では、「緊張する」という現象をありのままに受け入れるのに加えて、「緊張する自分も含めて自分自身である」と考えます。

緊張してしまって、恥をかこうが、気持ち悪いと思われようが、それらすべてを含めて今の自分であると考えます。

これが緊張受容法です。

緊張受容法を行うと、はじめは恥ずかしい気持ちが出てくると思います。

それは自然なことです。

しかし、あえてその自分を感じてみるのです。

「心臓がドキドキしているな」

「顔が熱いな」

「手が震えてるな」

など様々な身体感覚と精神感覚の変化を感じるでしょう。

その時にこれらを感じているのも自分の一部なんだと受容するのです。

継続していくと徐々に緊張は変わらずするんだけど、緊張しながらでもいいから相手と接したいという気持ちの方がまさり、緊張度が下がっていきます。

長期的に緊張を改善させる方法としてはオススメです。

 

さて、いかがだったでしょうか。

今日は緊張に対処する方法をお伝えしました。

 

できるものからで構いません。

実戦でぜひ利用してみてくださいね。

 

参考文献

V.E. フランクル (2004).  意味による癒し ロゴセラピー入門 春愁社

石井裕之 (2010). 人生を劇的に変えるアファメーション・テクニック ダメな自分を救う本 祥伝社

岩井寛 (1986). 森田療法 講談社

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