人格変容は可能なのか?認知科学の可能性

変わりたいのに変われないというのは、誰しも経験があることですね。僕の得意とする心理学のテーマの一つに「変化」が挙げられます。

もともと僕は自分自身がとても繊細で、ネガティブであり、ずっと「自分はなぜ人と接することが苦手なんだろう?」とか「男の子なのになぜこんな弱虫なんだろう?」と思っていました。

もちろんそれが精神医学的に問題があるのかと言えば、決してそんなことはなく、周りから見れば、適応していると思われていたことでしょう。しかし、主観的にはとてもしんどかったのです。

常に誰かの目を気にして、やりたいことをせずに、周りが良いと思うことをしていました。今の自分からすると考えられないのですが、確かにその時期は存在したのです。

そんな時期を過ごしていた時、僕が出会ったのが「洗脳原論」でした。偶然、大学の図書館で見つけました。

そこに書かれていたのは、オウム真理教による洗脳と人格変容の実態の解説でした。

それまでの僕は「三つ子の魂百まで」に代表されるような遺伝説に囚われていました。つまり、一度決まった性格は覆せないということです。しかし、洗脳原論に書かれていたことは、遺伝説とは異なるものでした。

「人格は変えられる」

ということが信者たちの事例を通して記載されていたのです。

そこからの僕は洗脳・脱洗脳・マインドコントロールなどの技術を来る日も来る日も調べ続けました。そして、「やはり人格は変容できる」と確信できるまでに至りました。

確かにオウムが用いた洗脳手法は非道徳的であり、非社会的で、決して許されることではありません。しかし、彼らのような非道な方法(ドラッグや電気ショックなど)を使用しなくても、「心理学の技術のみで十分に人格変容が可能なのでは?」と当時の僕は考えました。

そこからは代替となる心理技術を探し回りました。

代替として挙がったのが催眠でした。そこからは催眠を学び、実践して、脱洗脳が可能であるか、実験していました。

しかし、結論から言うと、催眠で脱洗脳を引き起こすのは難しかったです。

催眠は確かに超能力的な魅せ方をすることはできますが、最大のデメリットはその持続性にあります。催眠は洗脳に比べ、一時的なのです。

例えば、どんなに深い催眠をかけたとしても、被験者が眠ってしまえばそこで効果は切れます。睡眠より深い催眠はないからです。

これに気づいた僕は催眠も人格変容には効果を持ちにくいと、違う手法を探すことにしました。

コールドリーディングやサイコロジカルサブリミナルフォースなどアンダーグラウンドな技術も習得しては試してを繰り返してみましたが、催眠と同様、一時的感が拭えませんでした。

そんな時、心理学者エリスの存在を知ります。

エリスはベックとともに論理療法・認知療法を発展させた人物として有名です。

彼が変容を目指したのはbeliefs(信念)でした。

ここから僕はbeliefsの変容に焦点を当てて、情報を集めました。

現在、beliefsの変容を目指す技法としては、認知行動療法が挙げられます。第3世代の認知行動療法はともかく、第2世代までの認知行動療法は、認知の変容を目指すわけですから、ある意味人格変容を目指した心理療法であると言えるでしょう。

とはいえ、洗脳手法で行われる非人道的な人格変容とは異なることは明白です。合法的と言えばわかりやすいかもしれません。

社会的な倫理に照らし合わせた時、現状でbeliefsの変容を目指せる心理的手法は認知科学・認知心理学をベースにしたものしかないというのが僕の結論です。

脱洗脳家が行うデプログラミングの技術も基本的には認知科学的に捉えたbeliefsをいかに変容させるかが中心に据えられたものです。

ミンスキー博士らから始まる認知科学・人工知能学を学ぶことが結果的に人格変容を可能にするのではないでしょうか。

研究の発展を見守るしかなさそうですね。

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